【通関士】課税物件確定の時期と適用法令

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どうも。Kenny(tsujikenzo)です。このシリーズでは、 第57回通関士試験の合格を目指す 「【通関士】通関士をめざして2023」 をお送りしております。学習のアウトプットをしています。

今日は14回目です。通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きな回転寿司の一番安いネタは、納豆巻きです。

前回のふりかえり

前回は、【通関士】輸入時の関税納付のポイント(全体像編)、をお届けしました。

今回は、【通関士】課税物件確定の時期と適用法令、をお届けしします。

今日のアジェンダ

  • 課税物件の確定と適用法令の本質
  • 原則と例外と特例
  • 税関長の目線に立って
  • 特有の例外

課税物件の確定と適用法令の本質

前回のブログで、関税を収めるためには、「誰が払うのか」「何の貨物の」「どれくらいの価格や数量に対して」「どれくらいの税率を掛けて」をハッキリさせないと、正しい納付ができない、とお伝えしました。

そして、輸入貨物は、時の経過とともに経済的価値や数量が変化するので、「いつの時点の貨物の性質や数量に関税を課すのか」や「いつの時点の税率を適用するのか」という、タイミングを決めないと正しく関税額を決められないのです。 

原則と例外と特例

その、タイミングの決め方には、原則と例外と特例があります。

原則

課税物件確定の時期と適用法令には原則があり、原則として輸入者の意思である「輸入申告の時・日」 を、そのタイミングとしています。 

後述しますが、基本的に輸入者は、輸入申告を行う→貨物の関税を確定させる→関税の納付をする→輸入許可をもらう→国内に持ち込みます。

そして、この流れは、迅速(なんならすべて同日に行われる)であることが理想的です。

例外

例外として、輸入申告手続きは行われないが、関税が徴収される、または関税を徴収しなければならないケース、というのがあります。

これは、輸入申告前に保税地域に搬入したのだが、外国貨物が亡失した、などのケースです。 

このことから、原則も例外も含めて、課税物件の確定の時期は、関税を徴収すべき事由が生じた時、と表現しているテキストやWebサイトもあります。

わたしてきには、もう少し詳しく表現したいところです。次の段落で解説します。

特例

※これは、わたしの考察による憶測です。間違っていたらバチクソ叱ってください。

貨物の引き取り申告と納税申告を分離する制度を「特例輸入申告制度」と呼ぶのは、上記の、原則と例外をふまえた上での「特例」なのではないでしょうか。 

図では、主に、輸入許可の時・日としましたが、後ほど解説します。

税関長の視点に立って

この、原則、例外、特例ですが、とくに例外のパターンが非常に多くあり、暗記するのがしんどいです。

試験対策だとしても、暗記をやめて、法律がいわんとすることを汲み取った方がラクです。

そのために、課税物件確定の時期と適用法令の決定を下す、税関長の視点に立ってみましょう。

税関長の視点のおさらい

課税物件確定の時期を明らかにするためには、どの時点の貨物の性質・数量に関税を課すのかというのがポイントでした。

そのために、税関長としては、貨物の性質・数量を確認できた時(必要であれば貨物検査実施)が、適切なタイミングでしょう。

また、適用法令を明らかにするためには、いつの時点で有効な法令によって関税を課すのかというのがポイントでした。

そのために、税関長としては、貨物を保税地域より出すことを認める行政行為を行った日が、適切なタイミング、という考え方になっています。

課税物件確定の時期は、なんとなくイメージがつくと思います。適用法令の方は、まずは「そういうもんだ」と思ってください。 

税関長が貨物の状態を確認できるかできないか

そして、ここからが本題です。

税関長的には、貨物の確認をできたかどうかが、課税物件確定の時期と適用法令の決定をくだせるタイミングの決め手になります。 

確認できるときは確認したとき、確認できないときは、関税を徴収すべき事由が生じた時・日となります。 

例:貨物の状態を確認できるとき

原則では、輸入申告と同時に輸入許可の審査(貨物の検査含む)が行われますので、税関長は貨物の状態を確認できるので、輸入申告の時・日です。

保税運送などの承認を出すときも、税関長は貨物の状態を確認できるので、承認された時・日です。 

例:貨物の状態を確認できないとき

保存展示場の期間が終了したときは、税関長は貨物の状態の確認ができません。

そのようなときは、保存展示場からの搬出命令期間を過ぎてしまった、「関税を徴収すべき事由が生じた時・日」が課税物件確定の時期や適用法令のタイミングとなります。

貨物が亡失したときも、貨物の状態を確認できないので、貨物が亡失または滅却の時・日になります。

NACCS申請は、保税地域へ搬入前に輸入申告が可能ですが、税関長は貨物の状態を確認できません。なので輸入許可の時・日になります。 

特有の例外

最後に、課税物件確定の時期と適用法令には、それぞれ特有の例外があり、必ずしも両者のタイミングが一致するとは限りません。

超レアなケースとして、保税蔵置場へ搬入したウイスキーを破棄するときは、貨物の状態を確認できないので、本来であれば最後に確認した日、つまり蔵入承認した時・日になりますが、自然蒸発などで価値が減ってるのはかわいそうだよね、ということで輸入申告の時・日になっています。

これは、課税物件確定の時期に、特有の例外があるからです。

そして、保税蔵置場などに置かれた貨物で、輸入申告したあとに輸入許可前引き取り承認をしようとすると、必ず法改正が起きますので(試験問題の中での話です)、適用法令に、特有の例外があるパターンを理解しておきましょう。 

まとめ

以上で、【通関士】課税物件確定の時期と適用法令、をお届けしました。

例外のパターンが非常に多い分野ですが、税関長になりきって「あれ?関税を徴収しないといけないけど、貨物の状態って確認できるっけ?いつ最後に確認したっけ?」と考えると、答えが導き出せるようになりました。 

参考にしていただけると幸いです。

次回もお楽しみに。

参考文献

このシリーズの目次 第57回

このシリーズの目次 第58回

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