【通関士】法定納期限と納期限 特例申告による納税申告

通関士試験通関士

どうも。ケニー(ケニー🚢第58回通関士試験チャレンジ中)です。このシリーズでは、通関士試験に合格するための知識や攻略法について、受験生目線でアウトプットしています。

通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、花咲ガニです。

前回のふりかえり

前回は、法定納期限と納期限 輸入と特例申告をお届けしました。

輸入のときは、貨物引取りと納税申告は基本的に同時で、関税の納付が貨物の引取りと交換条件という基本をおさらいしました。

そして、納税申告の前に貨物の引取りを先に行う「特例申告」の基礎を学びましたね。

特例申告を行うばあいは、許可の属する日の翌月末までに、期限内特例申告書を提出して、関税を収めます。

今日は、「法定納期限と納期限 特例申告による納税申告」をお届けします。

今日のアジェンダ

  • 特例申告による納税の時期
  • 法定納期限と納期限の歴史

特例申告による納税の時期

特例申告を行うと、貨物の引取を先に行い、関税の納付(正しく言うと納税申告)は後からでOKでした。

しかも、関税納付申告期限は、輸入許可の日の属する翌月末なので、その月に何度も輸入をするばあいは、納付申告をまとめることができるということです。

一括特例申告

たとえば、8月に2回輸入を行ったばあいです。(特例輸入者か特例委託輸入者であることが前提です)

2回分の特例申告を、まとめて申告することができます。これを「一括特例申告」と言います。 

特例申告を行うばあいは、①貨物引取の為に作成した輸入(納税)申告書の表題を「特例申告書」と訂正し、②上部余白に「7条の2」と朱書したものを、輸入の許可をした税関長に提出します。さらに、③一括特例申告を行うばあいは「一括」と付記します。 

もちろん、個別に特例申告も可能です。貨物の種類やキャッシュフローの関係で、一括ではなく個別で処理することもあるのかなぁ。

おさらいですが、上記の図は「期限内特例申告」ですよね。9月28日(期限の2日前)に申告をしていますし、関税の納付も同じ日に行っています。

ここで注目したいのが、「法定納期限」です。

期限内特例申告の法定納期限と納期限

法定納期限とは、関税を本来的に納付しなければならない日です。法定納期限までに関税を納付しないと、延滞税を徴収されることがあります。

納期限とは、関税を収納機関に納付する期限です。納期限までに関税を納付しないと、差押えなどの滞納処分を受けることがあります。

期限内特例申告を行ったばあいは、法定納期限も納期限も、特例申告書の提出期限と同じタイミングです。 

わたしは、以下の3つの区別が全く理解できませんでした。この後、丁寧に説明していきます。 

  1. 納税
  2. 法定納期限
  3. 納期限

期限後特例申告の法定納期限と納期限

期限内特例申告の期限を、過ぎてしまったあとに提出する特例申告を「期限後特例申告」と言いました。

このとき、法定納期限と納期限が、同じタイミングではなくなります。 

法定納期限とは、関税を本来的に納付しなければならない日でした。上図で言うと、本来であれば、9月30日までに払わなければならなかったのです。

この、②法定納期限は、延滞税や時効の起算日(いつから延滞税が発生するか。いつから時効をカウントするか)など、「納税しなければならない日」の根拠になるタイミングを、法的に決めるものです。

③納期限とは、関税を収納期間に納付する期限でした。上図で言うと、期限後特例申告書を提出した日(10月1日)が納期限になります。

①納税とは、実際に納税したという意味ですが、納期限と同時に納税しなければ、さらに延滞税などが加算されるでしょう。上図では、期限後特例申告書を提出した日に納税しています。

期限後特例申告と決定

期限後特例申告では、「期限後特例申告書を提出した日」が「納期限」となりますが、これは10月2日になるかもしれませんし、10月15日になるかもしれません。

期限後特例申告は、税関長の決定があるまで、いつでも申告が可能です。

しかしながら、法定納期限を過ぎてますので、延滞税や無申告加算税を課せられることがあります。

法定納期限と納期限の歴史

法定納期限と納期限は、税法の歴史の中で、税金の公平な徴収納税者の利便性を図るために発展してきた概念です。

法定納期限の歴史

日本の近代税制は、明治時代の「地租改正」などを通じて整備されました。

この時期に、税金の徴収方法や納付期限が法律で定められるようになりました。当時は、税金の納付期限は税法に明記され、全国一律に適用されるものでした。

昭和時代に入ると、戦後の税制改革により、所得税や法人税などの現代的な税体系が導入されました。この時期に、税法上の「法定納期限」の概念が明確化されました。法定納期限は納税義務が成立する基準日として、税務上の重要な役割を果たすようになりました。

1962年に制定された国税通則法により、法定納期限の概念が正式に法律に盛り込まれました。この法律は、税務手続き全般を規律する基本法として、法定納期限の役割を明確にしました。これにより、延滞税の計算納税義務の確定税務処分の基準日として法定納期限が広く適用されるようになりました。

納期限の歴史

納期限の概念は、納税者が税金を支払うべき具体的な日として、個別の納付書や通知書によって設定されてきました。

近代税制の導入とともに、税務署が納付書を発行し、その中で納税者に対して納付期限を指定する仕組みが整えられていきました。

戦後の税制改革により、税務運用が高度化し、個別の納期限の設定がより柔軟に行われるようになりました。納付書による通知や、税務署の運用指針に基づく納期限の設定が広く行われるようになり、納期限が納税者ごとに異なる場合も増えていきました。

国税通則法は「納期限」について明確な定義を置いていませんが、実務上の運用において、納期限は納付書や通知書で指定される期限として扱われています。このため、法定納期限と納期限が異なるものとして運用されるようになりました。

まとめ

以上で、「法定納期限と納期限 特例申告による納税申告」をお届けしました。

法定納期限と納期限は、それぞれ税法と実務の異なる要求に応じて発展してきました。

法定納期限は税法の一貫性と公平性を保つために重要な役割を果たし、納期限は実務上の柔軟な対応を可能にするための期限として発展してきました。

これにより、税務行政がより効率的かつ納税者にとっても理解しやすいものとなるよう、両者が使い分けられています。

次回は、「法定納期限と納期限の例外」をお届けします。

参考資料

このシリーズの目次 第57回

このシリーズの目次 第58回

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