どうも。Kenny(tsujikenzo)です。このシリーズでは、 第57回通関士試験の合格を目指す 「【通関士】通関士をめざして2023」 をお送りしております。学習のアウトプットをしています。
今日は8回目です。
前回のふりかえり
前回は、【通関士】課税標準と端数処理、をお届けしました。
今回は、【通関士】関税額の計算の基本と応用、をお届けしします。
関税額の計算を求められる基本的な例題からスタートし、応用編となる法改正までまとめたいと思います。
今日のアジェンダ
- 関税額の計算の基本
- 関税額の計算の応用
関税額の計算の基本
前述のとおり、納付すべき関税の計算方法の基本は、以下の式になります。
課税標準は、インボイスのCIF価格であることが多く、以下のような例題が考えられます。
ここでは、納付税額を求めるのではなく、あくまで算出すべき関税額を求める問題にしております。
前回のブログのおさらいですが、関税額を計算するばあいは、課税標準である課税価格の千円未満を切り捨てて、関税率を掛けます。
もし、納付税額を解答するばあいは、百円未満を切り捨てます。
従価税品と従量税品
従価税品
先ほどの例題は、「価格」が課税標準となる課税物件でした。これを、従価税品と呼びます。
従価税品は、実行関税率表(タリフ)に、税率が記載されています。
たとえば、焙煎したコーヒーでカフェインを除いていないもの(HSコード0901.21.000)の基本関税率は20%です。
さきほどの例題は、従価税品の輸入貨物の関税額を計算するものだった、ということです。
従量税品
いっぽう、「数量」が課税標準となる課税物件を、従量税品と呼びます。
従量税品は、実行関税率表(タリフ)に、キロ単価やキロリッター単価が記載されています。
たとえば、デュラム小麦播種用のもの(HSコード1001.11)の基本関税率は、65円/kgです。
他にも、軽質油及びその調製品(1)揮発油Cその他のもの(HSコード2710.12)の基本関税率は、934円/klです。
いずれか高い方
従価か従量か、いずれか高い方を選ぶ基本関税率の品目もあります。
たとえば、綿糸(詳細省略)のその他のもの(HSコード5206.45.020)の基本関税率は、2.8%又は20円/kgのうちいずれか高い税率です。
演習
以上をふまえて、従量税品では、以下のような例題が考えられます。税率が円以上何桁あるか、申告数量の有効桁数はいくつか、端数処理に注意が必要です。
いずれか高い方の税率を選ぶ品目の例題は、このようになります。
ここまでが、関税額の計算の基礎です。
関税額の計算の応用
本試験では、算出した関税額ではなく、納付すべき税額を解答することがほとんどです。
そして、関税額の計算の基礎に、いくつかの要件が加えられた問題が出題されます。
輸入許可前に引き取られた貨物の法改正
納付すべき関税額の計算問題では、輸入貨物が輸入許可前に引き取られ、さらに法改正が起きることが多いです(ケニー調べ)。
たとえば、このような問題です。
引用:平成28年度第9問
課税物件確定の時期と適用法令についても、おさらいしましょう。原則として、適用法令(適用される税率)は、輸入申告の日でしたよね。
そして、輸入(納税)申告をする貨物で、以下の外国貨物は、税関長の承認を受けて絶対的担保を提供すると、輸入の許可前に引き取りが可能でしたよね。
- 保税蔵置場もしくは総合保税地域に置かれた外国貨物
- 保税工場もしくは総合保税地域における保税作業による製品である外国貨物
この、保税地域に入れられた貨物の輸入許可前引取に関しては、適用法令特有の例外があります。
輸入申告された後、輸入許可前貨物の引き取り承認後に法令が改正されたばあいは、「輸入申告の日」が適用法令になります。
よって、この問題では、法改正前の適用法令で計算しなければなりません。
まとめ
以上で、【通関士】関税額の計算の基本と応用、をお届けしました。
試験問題に「納付すべき関税額を計算しなさい」とあったら、保税地域に入れられた貨物の輸入許可前引取ではないか、心の準備をしましょう。
法改正が税関長の承認の前なら適用法令は税関長の承認の日、もし税関長の承認後なら適用法令は輸入申告の日です。
次回もお楽しみに。