【通関士】通関士の役割と税関長の許可・承認

通関士試験通関士

どうも。Kenny(tsujikenzo)です。このシリーズでは、 第57回通関士試験の合格を目指す 「【通関士】通関士をめざして2023」 をお送りしております。学習のアウトプットをしています。

今日は5回目です。

前回のふりかえり

前回は、【通関士】税関長による行政処分、をお届けしました。

今回は、【通関士】通関士の役割と税関長の許可・承認、をお届けしします。

通関士の役割について体系的にとらえ、なかなか覚えづらい「税関長による許可」と「税関長による承認」を理解していきたいと思います。

用語解説

記事内で「講学(こうがく)上」や「講学上の概念」という言葉を使います。これは、「法律学を研究する上で用いられる用語」だと思ってください。

法律上ではそんなこと決まっていないけど、学問上ではそう区別する、そのような呼び方をする、ということがたくさんあります。

今日のアジェンダ

  • 通関士の役割の全体像
  • 許可と承認

通関士の役割の全体像

通関士は、貨物の輸出入をおこなう者から依頼を受け、代理人として、税関に対して輸出入の申告や関税納付の手続きをする通関のスペシャリストです。

通関士試験では、関税法をメインとする法律群を理解しているかを問われます。 

実務と試験の乖離性

しかしながら、実務に必要な知識と、試験に必要な知識に、多少なりとも乖離性(かけ離れていること)があることは否めません。

たとえば、輸出入の通関手続きに必要な「税関長の許可」と、保税地域の設置要件である「税関長の許可」です。

輸出入に必要な税関長の許可は、輸出入許可証を取得するためなど、通関業務のメイン業務になります。

いっぽうで、保税蔵置場の設置要件である税関長の許可は、民間の土地や施設を所有している人が、税関長に対して申請を行うものであり、通関士の実務の範疇とは言えないでしょう。 

このように、粒度(詳細の細かさ、おおまかさ)の違いを理解しましょう。

実務に必要な粒度

保税地域の分野で、実務に必要な知識の粒度は、保税地域からの見本品の持ち出し許可や、外国貨物を保税展示場にいれる承認(申告)でしょう。

復習ですが、届出は、税関長にではなく、税関にすればいいよ、というのも、届出は処分より軽い行政活動だから、でしたね。 

その他にも、AEO業者(認定通関業者)の認定には税関長の認定が必要など、「これは通関士の実務じゃないよね!」と思うことはたくさんあります。

それより、収容(蔵置期間を超えてもなお置かれたままになっている外国貨物への手続)の解除には税関長の承認が必要など、実務に重要な法案を覚えないといけないな、とは思います。

許可と承認

ここまで、通関士試験の出題範囲のすべてにおいて、粒度をとらえながら、許可や承認や届出を整理する必要があることを話してきました。

ここでは、そもそも「許可」や「承認」とはなんなのか、少し触れてみたいと思います。

2種類の行政行為

前回のブログで紹介した、行政手続法における「処分」は、講学上「行政行為」にあたります。

行政行為は、大きく分けて、2種類の行為があります。

  1. 法律行為的(行政行為)
  2. 準法律行為的(行政行為)

2つの違いは、行為者(行政の長など)の意思表示を要素としているかどうかです。 

たとえば、「許可を与えたい」という行政の長の意思表示があるか、もしくは納税催促のように、法律の定めによって発生するものの違いです。

法律行為的行政行為

法律行為的(行政行為)には、2種類の行為があります。

1-1. 命令的行為・・・国民が生まれながらに有する自由を制限して義務を命じたり、逆に義務を免除したりする行為

1-2. 形成的行為・・・国民が本来有していない特別な権利や法的地位等を与えたり、奪ったりする行為

命令的行為

命令的行為には、「下命(かめい)・禁止」「許可」「免除」の3種類があります。

とくに、「許可」に注目します。

許可とは、もともと私人が持っている自由を、公共の安全や秩序の維持などの公益上の理由から、法令により禁止しておいてその禁止を適宜解除する行為です。

たとえば、運転免許は、車の運転の「許可」です。

一般的には車の運転を禁止しておいて、その禁止を解除するためには、運転免許という行政庁の許可が必要と、いう仕組みになっています。

その他にも、医師の免許や、飲食店の営業許可があります。

通関士試験で重要なポイントは、税関長による輸出の許可や輸入の許可は、許可になるとわたしは思います。(※特許であるという見方もできます。むずかしいところです。)

形成的行為

形成的行為には、「特許」「認可」「代理」の3種類があります。

まず、「特許」に注目します。

特許とは、本来私人がもっていない独占的な権利や地位を、特定の私人に与える行為です。

たとえば、公共の池や川や海は、散策することは自由ですが、勝手に埋め立てることはできません。

その権利や地位を与えるのが、公有水面埋立法上の「免許」 です。ややこしいですが、講学上では「特許」に分類されます。

その他にも、道路や河川の占有許可や、鉱業権設定の許可という権利や地位を与える行為が、特許です。

次に、「認可」に注目します。

認可とは、私人間で締結された契約(売買契約)などを、行政庁が「○○していいよ」と補充することによって、法律上の効力があるようにする行為です。

たとえば、電気やガス代などの公共料金の値上げには、経済産業大臣の認可が必要です。

その他にも、河川占有権譲渡の承認や、農地の権利移転の許可なども、認可です。

承認とは

承認とは、公法(国や公共団体相互の関係や、国や公共団体が「優越的な意思の主体」として私人に対する「支配関係」「権力関係」 を規律する法)上、国または地方公共団体の機関が、他の機関または人の行為に与える同意のことです。

税関長の承認は、講学上、認可に該当すると思います。

通関士試験のポイントでは、保税運送制度(税関長の承認)や場外作業(税関長の認可)も、認可だと思います。

試験対策として

試験では、税関長の行政処分が、許可であるか承認であるかを問われる問題は少ないようです。

なので、税関長の許可(または承認)であるか、届出で済むのか、という理解をするだけでも、合格に一歩近付くでしょう。

まとめ

以上で、【通関士】通関士の役割と税関長の許可・承認、をお届けしました。

「許可」や「承認」が講学上の特許や認可に該当するかどうかというのは、非常にむずかしい問題で、過去の判例や関連法案を見なければなりません。

あくまで法律学上の話なので、正解不正解にこだわることは、ここではナンセンスです。

「免許、許可、認可、承認、届出、申請」などの用語を理解したかったわたしは、少しだけ頭がスッキリしました。

次回もお楽しみに。

参考資料

このシリーズの目次

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