【通関士】修正申告と更生と延滞税と過少申告加算税

通関士試験通関士

どうも。Kenny(tsujikenzo)です。このシリーズでは、 第57回通関士試験の合格を目指す 「【通関士】通関士をめざして2023」 をお送りしております。学習のアウトプットをしています。

今日は9回目です。

前回のふりかえり

前回は、【通関士】関税額の計算の基本と応用、をお届けしました。

実務の計算式は、全5問です。出題パターンは、以下のような感じです。

分野問題数頻度難易度
関税・消費税額0~1問
修正申告・更生0~1問
延滞税0~1問
過少申告加算税0~1問
課税標準3問激ヤバ

今までのパターンはそうでしたが、無申告加算税や特恵関税のように、新たな問題が出題される可能性は高いです。

確実に、計算問題で得点が取れるようにがんばりましょう。

今回は、比較的かんたんな(でも量が多い)【通関士】修正申告と更生と延滞税と過少申告加算税、をお届けしします。

今日のアジェンダ

  • 修正申告と更生
  • 延滞税
  • 過少申告加算税

修正申告と更生

修正申告も更生も、当初申告をしたときの税額と、正しい税額に、差(過少である旨)が発生しているので再計算する、という問題です。 

いちばんシンプルな例題は、以下ように「課税標準額だけが違っていましたよ」というものです。 

これが、課税標準だけでなく、「適用税率も違ってましたよ」というパターンもあります。 

計算方法はどちらも同じで、当初申告と、正しい税額の、それぞれの関税額を計算(課税標準(千円未満切り捨て)x 税率)して、差額(百円未満切り捨て)を求めるだけです。 

端数処理の原則が身についていれば、電卓(メモリー機能付き)のみで計算が可能になり、1~2分程度で解けるでしょう。

法改正がからむ修正申告

本試験に出題されるレベルですと、修正申告に法改正が絡む問題を想定します。 

適用法令の日

解答のコツは1つで、適用法令がいつになるか、ということです。

適用法令の原則は、輸入申告の日でしたが、修正申告(保税地域に入れた貨物であって輸入許可をうけたもの)における適用法令の日は、輸入許可の日です。(関税法第五条適用法令) 

いまいちど、適用法令がいつになるか整理しておきましょう。ポイントは、適用法令の日は、税関長が貨物を保税地域より出すことを認める行政行為を行ったタイミングです。 

計算方法のおさらいですが、当初申告と、正しい税額の、それぞれの関税額を計算(課税標準(千円未満切り捨て)x 税率)して、差額(百円未満切り捨て)を求めるだけです。 

延滞税

延滞税とは、法定納期限内までに関税を完納しないばあいは、法定納期限の翌日から還付する日までの日数に応じて、延滞税率を乗じた税額を収めなければならないというものです。

ただし、関税額の納付日が納期限の翌日から2か月超える期間は、延滞税率がかなり高く(図の14.6%部分)なり、早く収めた方がいいです。 

なので、延滞税の計算式はこのようになります。 

法定納期限と納期限

法定納期限と納期限の原則は、輸入貨物が外国貨物から内国貨物になる日です。ほぼ輸入許可の日になるでしょう。

ちなみに、輸入許可前の引取承認などは、外国貨物としての扱いでした。しかし、貨物が外国貨物から内国貨物になる時までに関税を収める必要がある、というのが法定納期限の考え方なので、引取承認や更生の通知書が発せられた日が法定納期限です。

試験では、法定納期限を間違えない、というのが最大のポイントです。

以下のように、ご丁寧に法定納期限を教えてくれる問題は、ほぼ出題されないと思います。 

むしろ、以下のように、問題文から法定納期限をただしく判断する能力が求められます。 

しかしながら、基本は「外国貨物から内国貨物になる日」であり、関税の納期限の延長の申請をしたとしても、担保の提供がない限り延長されません

よって、この問題でも、輸入許可の日が法定納期限です。

2022年では延滞税が出題されたから、2023年は出題されないかな~(ヤマを張るのはやめましょう。)

過少申告加算税

過少申告加算税とは、納税申告された税額が過少であったばあい、過少税額に応じて課される付帯税です。

過少申告加算税があるのは、正しく申告している納税者がいる一方、「納税額を少なく申告したけど指摘を受けなかったラッキーヽ(^o^)丿」という納税者との間の不公正を是正するためです。

その過少申告加算税額も、「50万円を超えるかどうか」というのが、1つの基準になっています。

もし、超えるばあいは「ちょっと悪質じゃない?」ということ(わたしの個人的な解釈であり、法的根拠はありません。)で、さらに加重分が課されます

過少申告加算税の税率

修正申告または更生がされたとき、納税義務者が納付すべき税額を、増差税額(ぞうさぜいがく)と呼びます。

この増差税額を基準として、通常分と加重分の税率が決定されます。

通常分

納税申告があった後、税関の調査により、納税申告が適正でないとして修正申告または更正が行われた場合は、原則として、増差税額の10%に相当する金額の過少申告加算税が課されます。

また、税関の調査通知を受けた日の翌日以後、更正予知前に修正申告が行われた場合は、新たに納めることになった税金の5%に相当する金額が過少申告加算税として課されます。

加重分

修正申告等により増加した税額のうち、当初申告税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分については、その超えている部分に相当する金額の5%に相当する金額の過少申告加算税が加算されます。

計算方法

このような問題が出題されます。 

過少申告加算税と言えば増差税額(お風呂や寝る前に必ず唱えましょう)。まず、それぞれの関税額を計算して、増差税額を算出します。 

通常分は、増差税額(1万円未満の切り捨て)x 10% です。 

過少申告加算税の納税でヒヤヒヤするのが、**加重分があるかないか(ケニー的に悪質を問われる感覚)**です。

加重分の有無のラインは、当初申告額と50万円のいずれか高い方の金額と、増差税額のどちらが高いか、です。

つまり、増差税額の方が高いのはちょっと悪質でしょ、ということ(ケニーの個人的解釈)で加重分を加えて、納税しなければなりません。

  • 増差税額 > 当初申告額と50万円のいずれか高い方・・・加重分を払う

問題文では、当初申告額は、15.3万円だったので、50万円の方が高いです。

増差税額と50万円を比べて、増差税額の方が高いばあいは、加重分が発生する、ということです。 

加重分は、端数処理を行うまえの増差税額から、50万円を引くと計算できます。

5%を掛けるときに、1万円未満の切り捨てをお忘れなく。 

通常分と加重分を足した額が、過少申告加算税額です。 

修正申告を何度もやっているばあいは、当初申告額は累積の納付金額ということもお忘れなく。

まとめ

以上で、【通関士】修正申告と更生と延滞税と過少申告加算税、をお届けしました。

計算問題は大変ですが、型を見つけて、ハメることが大事だと思います。

あとは反復ですね。ストップウォッチで〇分以内に回答する、という訓練をしてもいいと思います。

次回もお楽しみに。

参考資料

このシリーズの目次

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