どうも。Kenny(tsujikenzo)です。このシリーズでは、 第57回通関士試験の合格を目指す 「【通関士】通関士をめざして2023」 をお送りしております。学習のアウトプットをしています。
今日は10回目です。遅ればせながら、通関士試験指導「みこ会」に加入しました。
みこさんやメンバーのみなさんの貴重なアドバイスを頂戴しながら、試験勉強やブログ執筆を行っております。今後ともぜひよろしくお願いします。
前回のふりかえり
前回は、【通関士】修正申告と更生と延滞税と過少申告加算税、をお届けしました。
今回は、実務:課税価格の決定を飛ばして、【通関士】貨物の品目分類とHS条約、をお届けしします。
今日のアジェンダ
- 品目分類の概要
- HS条約と関税率表の関係
品目分類の概要
ここでは、世界中の貿易で使われているHSコードと、そのルールを定めたHS条約についてみていきましょう。
HS条約とは
国際貿易における関税率適用を楽にするために、国際的に公平で、かつ統一された分類ルールがあると便利です。
その分類ルールを定めたものが、「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」です。
統一システムは英語で、International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding Systemと呼びます。
統一システムの条約は、「HS条約」と呼ばれています。
HS条約の本文が第1条~20条で構成されており、HS条約に参加する国々へ、定義や運用ルールを提示しています。
HSコードとは
HS条約は、本文と付属書からなり、付属書では、分類決定の原則や、具体的な品名の既定が示されています。
この付属書こそが、統一システム(HS)です。
統一システムで使われている、商品の名称及び分類を数字で表記したものを「HSコード」と呼びます。
なお、実行関税率表(輸入)と、輸出統計品目表(輸出)で使われる部(大分類)や類(中分類)は共通ですが、統計細分は異なりますので注意が必要です。
通則
通則とは、つう‐そく【通則】
- 世間一般に通用するきまり。「人間社会の—」
- 法規などで、全体にわたる規則。総則。
という意味です(引用:Weblio国語辞典)。統一システムにおける文脈では、2.の意味だと思います。原則と通則の違いがよくわからないですが、「決まり」とか「規則」という意味でしょう。
通関士試験では「関税率表の解釈に関する通則」というキーワードでお見掛けしますね。つまり、関税率表適用の解釈の原則なんだな、と思ってOKです。
後で解説します。
HS条約と関税率表の関係
ここまで、国際的な貨物の分類ルールを見てきました。では、日本の法律と、どのように関連しているのでしょうか。
HS条約と、関税率表の関係は、以下のように対応しています。
世界での統一基準 | 日本 | |
---|---|---|
根拠 | HS条約 | 関税定率法 |
品目表 | 付属書のHS品目表 | 別表 関税率表 |
解説書 | Explanatory Notes | 関税率表解説 |
意見書 | Classification Opinions | 分類例規 |
国際的な会議に参加しながら、日本の法律でうまく準拠できるように調整している役人の方には、本当に頭が下がります。これからも国のためにがんばってください。(語彙力)
関税率表解説と分類例規
国際的な貨物の分類ルールに準拠しながら、さて、日本ではどのように解釈しましょうか、というのを示したものが、上記の表の3段目と4段目にある関税率表解説と分類例規です。
文書 | 説明 |
---|---|
関税率表解説 | 関税率表、輸出統計品目表の解釈のための解説の通達 |
分類例規 | 関税率表、輸出入統計品目表に係る分類基準及び分類事例をまとめた通達 |
具体的な例を挙げてみましょう。
品目分類の第11部は、紡織用繊維及びその製品についての分類ルールです。第52類の「綿および綿織物」を見てみましょう。
関税率表解説では、「綿というのは、これこれこういうもので、摘み取ったままの綿と、グルグル巻きにした綿は、品目分類で違うからね」という(語彙力)解説を載せています。
分類例規には、言葉の定義をたて糸とよこ糸で表現したり、分類例の規則が定められております。
品目分類は、誰が分類しても必ずおなじところに分類しなければならない、という原則があります。
通関士たるもの、関税率表解説や分類例規を見ながら、貨物の正しい分類ができなければなりませんね。
関税率表の解釈に関する通則
前章で、HS条約における付属書が統一システム(HS)ですよ、というお話をしました。
付属書とは、「通則」「部類号注」「HS品目表」で構成されている、とのことでした。
同様に、実行関税率表も、「通則」「類注」「税率(表)」で構成されています。
と、ここまでで、ちょっと長くなったので、関税率表の解釈に関する通則とはなにか、については、次回にします。
まとめ
以上で、【通関士】貨物の品目分類とHS条約、をお届けしました。
わたしのばあい、試験に合格することだけが、通関士試験を受ける目的ではありません。
なので、「品目分類は捨てた」とか「HSコードは丸暗記」のような考え方は、あまりありません。
それは、出題する側の気持ちとしても同じなのかな、と思っておりまして、通関士としてどんな力が問われてるか分かる?近年はどんな変化が求められているのか伝わってる?というポイントを抑えることが大事なのかなと思います。
とはいえ、「今年受かりたいなぁ」と言うのが本音デス。
次回もお楽しみに。
参考資料
- 税関 実行関税率表
- 税関 関税率表の解釈に関する通則(輸入統計品目表の解釈に関する通則)
- 税関 関税率表解説・分類例規
- 品目分類の概要と通則 名古屋税関業務部
- 品目分類について 大阪税関業務部 関税監査官部門