【通関士】貿易と船と海の話

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どうも。Kenny(tsujikenzo)です。このシリーズでは、 第57回通関士試験の合格を目指す 「【通関士】通関士をめざして2023」 をお送りしております。学習のアウトプットをしています。

今日は12回目です。通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、トロにしんです。

前回のふりかえり

前回は、【通関士】関税率表の解釈に関する通則と所属の決定、をお届けしました。

今回は、ちょっと基本に戻って【通関士】貿易と船と海の話、をお届けしします。

公海、排他的経済水域、本船扱い、外国貿易船、この辺りのキーワードを整理してみます。

今日のアジェンダ

  • 海の名前
  • 船(機)の名前
  • 内国貨物と外国貨物
  • 本船扱い

海の名前

まずは、言葉の定義のおさらいです。

領海

領海は、いわば海の領土であり、日本の瀬戸内海のような陸の内側にある海は、外国の船舶は勝手に航行できません。

ただし、陸の外側にある領海は、安全を害さない範囲で、外国の船舶も通行する権利があります。

許可を持っていれば、外国の船舶が領海で漁業をすることもできます。

排他的経済水域

排他的経済水域とは、領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く。)並びにその海底です。

排他的経済水域では、漁業や鉱物資源の開発など経済活動の権利があり、他国は無断で漁や資源開発ができません

日本の領土と領海と排他的経済水域を含む面積は、世界第8位だそうで、日本が水産大国であることや、海洋資源に恵まれていることがわかります。

引用元:海上保安庁

 

公海

公海とは、いずれの国の領海にも含まれない、海洋のすべての部分です。公海は、誰でも自由に通行したり、漁業ができます。

英語で「freedom of the seas」だそうです。カッコいいですね。

ただし、通関士試験の出題範囲では、公海とは排他的経済水域を含む、広義の公海のことを指しています。 

なので、このブログでは、「外国の領海」「公海」「領海」という言葉を使います。とくに、「公海」には「外国と日本の排他的経済水域も入ってるんだな」と、読み解いてください。 

外国

過去問を解いていると「外国」という単語が登場します。これは、「外国の領海」と読み解いていいようです。つまり「外国貨物である」という流れで、輸入するのか積戻しするのかという問いに発展する感じです。

船(機)の名前

次に、船(機)の言葉の定義のおさらいです。

関税法では、本邦と外国との間を往来する船舶(機)を大きく3つに分けています。

  • 外国貿易船
  • 特殊船舶など
  • 政令で定める公用船

外国貿易船

関税法第2条の5または6には、「外国貿易船(機)」とは、外国貿易のため本邦と外国との間を往来する船舶(機)をいう、とあります。

また、関税法基本通達2-8によると、軍用船海技練習船遠洋漁業船は、外国貿易に従事しない限り、外国貿易船に含まれないと、されています。

通関士試験では、外国貿易船は保税地域のある開港に入港せず、どこか違う港に係留することが多いので、覚えておきましょう。

なぜなのか、後で解説します。

特殊船舶など

特殊船舶とは、関税法第15条の3で定義されているとおり、本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機で外国貿易船又は外国貿易機以外のもの(公用船、公用機その他の船舶又は航空機のうち政令で定めるものを除く。)です。

政令で定める公用船など

特殊船舶の説明の中で「公用船、公用機その他の船舶又は航空機のうち政令で定めるものを除く」とありました。

関税法施行令の第13条の3には、このようにあります。

政令で定める船舶及び航空機は、外国の軍艦及び軍用機並びに海上における保安取締り及び海難救助に従事する公用船とする。

その他

沿海通航船や国内航空機は、日本と外国を往来するものではありませんね。

自衛隊の船舶および航空機は、政令で定める公用船などに含まれていないようですが、法改正の検討が行われているようです。

まとめると、こうです。

外国の船舶

外国の船舶とは、原則として外国の国籍を有する船舶を言います。(関税法基本通達2-3)

わたしは、ロシアからタラバガニを輸入する会社で貿易商社としてのキャリアをスタートしましたが、当時の写真を見返すと、日本国旗を掲揚しているので、これはロシア船ではなく、本邦の船舶ですね。 

通関士試験では、公海で水産物を漁獲する船として、登場します。

内国貨物と外国貨物

こちらは、「内国貨物を外国に出すこと、外国貨物を本邦に引き取ることが、輸出入なんだな」という、基本中の基本です。 

とくに、公海で漁獲した水産物について、図式してみました。

輸入? or 輸出?フローチャート

原則は、本邦の船舶が漁獲した水産物は内国貨物であり、外国の船舶が漁獲した水産物は、外国貨物です。

例外は、外国の領海で本邦の船舶が漁獲した水産物は外国貨物である、ということですが、試験に出るかは・・・微妙でしょう。 

関税法基本通達より

むしろ、関税法基本通達2-4(外国の船舶により公海で採捕された水産物の範囲)にある、 「外国の船舶により公海で採捕された水産物には、その水産物を原料として加工又は製造した製品を含むものとする。」 というのが大事だと思います。

同様に、2-7(本邦の船舶により公海で採捕された水産物の範囲)より、「本邦の船舶により公海で採捕された水産物には、その水産物を原料として本邦の船舶内で加工 又は製造した製品を含むものとする。」という点です。

また、輸出の具体的な時期として、公海並びに本邦の排他的経済水域の海域及び外国の排他的経済水域の海域で採捕した水産物を直接輸出する場合 外国に向けて運送を開始した時または外国に向けて航行する船舶に積み替えた時、というがの大事かもしれません。

本船扱い

最後に、輸入の申告の原則は、保税地域または他所蔵置許可場所に搬入された後にする、でしたが、保税地域に入れないで輸入申告できるよ、という例外がありましたよね。

ということは、外国貿易船に外国貨物を積んだまま、どこかの港に係留しており、税関長の承認を受ければ、係留場所の税関長に輸入申告をすることができる、ということなのです。

これを、本船扱いと言います。

特定委託輸出申告を行うばあいには、本船扱いの手続きを要することなく、特定委託輸出申告ができます。

まとめ

以上で、【通関士】貿易と船と海の話、をお届けしました。

最後は、画像の挿入もせずに、少し雑になってしまいました。。。

お詫びに、北海道にある保税蔵置場の蟹水槽をお届けします。 

次回もお楽しみに。

参考資料

このシリーズの目次

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