【通関士】法定納期限と納期限 貨物の地位と法定納期限

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どうも。ケニー(ケニー🚢第58回通関士試験チャレンジ中)です。このシリーズでは、通関士試験に合格するための知識や攻略法について、受験生目線でアウトプットしています。

通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、ズワイガニの甲羅盛りです。

前回のふりかえり

前回は、特例申告による納税申告をお届けしました。

試験範囲を「暗記」するにしても、物事を理解してから暗記した方がラクですよね。理解してない暗記はツラいです。。。

今日は、「法定納期限と納期限 貨物の地位と法定納期限」をお届けします。

今日のアジェンダ

  • 特例申告における貨物の地位
  • 法定納期限の原則
  • 法定納期限の例外
  • 法定納期限のまとめ

特例申告における貨物の地位

関税法第二条の「定義」からの引用です。

外国貨物と内国貨物

「外国貨物」とは、輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)で、輸入が許可される前のものです。

「内国貨物」とは、本邦にある貨物で、外国貨物でないもの、及び本邦の船舶により公海で採捕された水産物です。

「外国の船舶」や「公海」については、こちらの記事をオススメします。わたしの本業(水産物取扱商社)です。

なので、特例申告を行い輸入許可が下りて引き取った貨物は、「内国貨物」です。

しかしながら、納付が終わってませんので、まだ税関の管理下にあります。

納税に関する法から見ると、「使用を制限する」「再輸出を禁止する」など、「外国貨物と同様」に扱われることがあるでしょう。

納税が完了するまで、完全に自由な処分をすることは、できないはずです。

特例申告とみなし内国貨物

似たような貿易用語に、「みなし内国貨物」があります。ちなみに「みなし内国貨物」という法的な用語はありません。

これは、BP承認の際などに使われる用語です。輸入の許可は下りてない(下ろしてない)けど、「内国貨物とみなす」と言うものです。

特例が「申告」なのに対し、BPは「承認」なのがポイントです。

この件について、Xで出題させていただいたところ、たくさんの回答をいただきました。

誠に感謝いたします。大変勉強になりました。 

正解は「内国貨物であるが、関税の納付に関連する法からすると外国貨物と同様に扱われることがある」だと思います。(3択の中に正確な答えがなくて申し訳ありませんでした。)

法定納期限の原則

さてここからは、本題である、法定納期限について学びます。

法定納期限とは、本来的に納付しなければならない日であり、貨物を輸入する日、が原則です。

この原則の「貨物を輸入する日」とは、分解すると2パターンあります。

  1. 輸入許可を受けるもの・・・・・・・即納方式
  2. 本邦に貨物が持ち込まれるもの・・・本邦に貨物が持ち込まれる状態になる方式

輸入許可を受けるもの

輸入申告を行ったあとに許可が下りて、即時に関税を納付する方式を「即納方式」と呼びます。

このばあい、法定納期限と納期限は同じで、輸入許可の日です。 

実際の輸入の現場では、即納方式がほとんどだそうです。(新千歳空港の現役通関士より)

本邦に貨物が持ち込まれるもの

一方で、「保税展示場の許可期限が切れた」など、意図せず本邦に貨物が持ち込まれる状態になるばあいもあるでしょう。

課税物件の確定の時期は、関税を徴収すべき事由が生じた時というのは、こちらのブログ(課税物件確定の時期と適用法令)で解説しました。

法定納期限は、主に関税を徴収すべき事由が生じた時(本邦に貨物が持ち込まれる状態になったとき)です。 

法定納期限の例外

では、法定納期限が貨物を輸入する日という原則に当てはまらない、例外です。

例外は、以下の2パターンがあります。

  1. 税関が認めたもの
  2. 税関や政策上の都合によるもの

税関が認めたもの

法定納期限の原則としては「貨物を輸入する日」だけど、それより遅くなっても構わないよ、と税関が認める例外があります。

それは、「特例申告」と「納期限の延長」のばあいです。

特例申告

おさらいですが、特例申告は、税関長から輸入許可を先にもらい、関税納付を後から行います。 

貨物を輸入する日(輸入許可の日)は、とっくに過ぎていて、それより遅い日(特例申告書の提出期限)が法定納期限になっています。

納期限の延長

申告納税方式の輸入貨物は、納付すべき関税額に相当する担保の提供を条件に、納期限を3か月延長できます。

次回ブログでも取り上げますが、この 「担保」 を提供すれば 「納期限」は 「3か月」 延長できる、というのは、基礎中の基礎なので壁に貼って覚えましょう。 

納期限が延長されたばあいの法定納期限は、「延長された期限」です。

税関や政策上の都合によるもの

法定納期限の原則としては、貨物を輸入する日だけど、「いや、そのばあいは税関側で法定納期限を決めるから」という例外もあります。

それは、「BP承認(郵便物を含む)」と「相殺関税や不当廉売関税を課す」ばあいです。

BP承認(郵便物を含む)

BP(Before Permition)承認とは、輸入許可も下りてないし関税も納付してないけど、担保を提供して荷物を引き取る制度でした。

関税の納付については、税関から「納付通知書」か「更正通知書」が発せられますので、その発せられた日が法定納期限です。 

相殺関税や不当廉売関税を課す

相殺関税や、不当廉売関税が税関により課されるばあいは、納税告知書が発せられます。

その納税告知書に記載された納期限が、法定納期限です。

最後の2つの例外は、通知書が発せられた日、もしくは告知書に記載された日、なので覚えやすいと思います。

法定納期限のまとめ

以上で、法定納期限の原則と例外でした。全体像は、このようになります。

暗記するなら、この図の「原則は2パターン、例外も2パターン。例外の具体的な例を挙げると4パターン」を暗記するとラクかもしれません。

まとめ

以上で、「法定納期限と納期限 貨物の地位と法定納期限」をお届けしました。

どんどん行きましょう。

次回は最終回です。「法定納期限と納期限 納期限と過去問対策」をお届けします。

参考資料

このシリーズの目次 第57回

このシリーズの目次 第58回

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