どうも。ケニー(ケニー🚢第58回通関士試験チャレンジ中)です。このシリーズでは、通関士試験に合格するための知識や攻略法について、受験生目線でアウトプットしています。
通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、モクズガニです。
前回のふりかえり
このブログでは、定期的に「輸入時の関税納付のポイント(全体像編)」を、更新しています。
「課税物件確定の時期と適用法令」や「法定納期限」をお届けしてきましたが、最後に、「不服申し立て」を更新したいと思います。
本試験では、関税法の複数選択式か択一式で、1問出るか出ないかというレベルなので、出題されたら得点したい、という方向けです。(だけど押さえるポイントはそんなに多くないです)
今日のアジェンダ
- 不服申し立てとは
- 試験によく出るポイント
不服申し立てとは
不服申し立てとは、税関長の処分に対して、不服申し立てができる制度です。
通関士としては、不服申し立てを代理することは、通関業務(関連業務ではありません)ですので、実はとても大事な業務です。
さまざまな不服申し立てがありますが、関税納付の文脈では、徴収する関税の賦課や延滞処分に対する不服申し立てが行なわれます。
不服申立ての種類
不服申し立ては、税関長に対して申し立てる「再調査の請求」と、財務大臣に対して申し立てる「審査請求」があります。
税関長の処分に対して、税関長に再調査の請求を申し立てるということは、
- 「税関長さん、この行政処分はなにかの間違いじゃありませんか?」
- 「もし間違いがあったら修正や撤回をして、迅速に問題解決しましょうよ」
ということです。
もし、再調査の請求で問題が解決しない場合や、それに不満がある場合、次の段階として財務大臣に対して審査請求を行う、ということです。財務大臣の方が偉いですからね。
不服申し立てができるのは、税関長の処分があったことを知った日の翌日から3か月から1年以内です。
不服申し立てができる税関長の処分
不服申し立てができる税関長の処分は、4種類です。
- 税関長の名においてする処分
- 収容および留置
- 関税法の規定により徴収する関税の賦課もしくは徴収または滞納処分
- 輸出および輸入してはならない貨物の児童ポルノや風俗を害すべき書籍に該当する旨の通知
とくに3.4.が大事です。
取消訴訟と審査前置主義
税関長は、国民に行政処分を行いますが、国民は行政処分に対して取消訴訟を提訴する権利があります。基本的に、誰でも、いきなり、取消訴訟を提訴できます。
ただし、一部の行政処分については、裁判所に直接取消訴訟を提起する前に、まず行政機関に対して「不服申立て」を行い、その結果を経てから訴訟を起こす必要があるばあいがあります。
これを審査前置主義(しんさぜんちしゅぎ)と呼びます。
関税法において、審査前置が必要な行政処分は、以下の2種類です。
- 関税法の規定により徴収する関税の賦課もしくは徴収または滞納処分
- 輸出および輸入してはならない貨物の児童ポルノや風俗を害すべき書籍に該当する旨の通知
税関長の処分で、3.4が大事って言ったやつです。
つまり、税関長の処分に不服があるとき(上記の2種類以外)は、財務大臣への審査請求についての判決を経ずに、処分の取消訴訟ができる、ということです。
これ、めっちゃ試験にでます。
関税等不服審査会
財務大臣に対して、審査請求が行われたばあい、財務大臣は関税等不服審査会へ諮問(しもん)する義務を負います。
行政機関や審議会などが、特定の事項について専門家や第三者機関に意見や助言を求め、公正で透明な審査を行うためです。
義務があるとはいえ、審査請求をした人から「諮問はしないでください」と申出があるばあいは、諮問しません。
試験によく出るポイント
- 不服申立てができるのは3カ月から1年
- 「再調査の請求」なのか「審査請求」なのか問題をよく読む
- 商標権や特許権や意匠権の処分に不服があるときは審査請求を経ずに取消訴訟できる
- 参加者から「諮問しないことは反対!」が出ているときは諮問する
- ほかにもこまごまとしたものは出ますが。。。がんばりましょう。
まとめ
以上で、「不服申し立て」をお届けしました。
次回は、本試験かなぁ。。。緊張してます。
このシリーズの目次 第57回
- 【通関士】資格勉強の学習計画
- 【通関士】行政と行政手続
- 【通関士】内閣大臣と大忙しの税関長
- 【通関士】税関長による行政処分
- 【通関士】通関士の役割と税関長の許可・承認
- 【通関士】通関書類の作成および通関実務の学習ポイント
- 【通関士】課税標準と端数処理
- 【通関士】関税額の計算の基本と応用
- 【通関士】修正申告と更正と延滞税と過少申告加算税
- 【通関士】貨物の品目分類とHS条約
- 【通関士】関税率表の解釈に関する通則と所属の決定
- 【通関士】貿易と船と海の話
- 【通関士】輸入時の関税納付のポイント(全体像編)
- 【通関士】課税物件確定の時期と適用法令
- 【通関士】納税義務
- 【通関士】延滞税の免除と軽減措置
- 【通関士】原産地規則の適用と手続
- 【通関士】原産地規則の実質的変更基準
このシリーズの目次 第58回
- 【通関士】第58回本試験に向けて
- 【通関士】課税価格を極めよう 原則と例外
- 【通関士】課税価格を極めよう 現実支払価格の加算と控除
- 【通関士】課税価格を極めよう 現実支払価格の買手が自己のために行う活動と保管
- 【通関士】課税価格を極めよう 売買契約と輸入取引における買手と売手
- 【通関士】課税価格を極めよう 価格決定の構造とインコタームズ
- 【通関士】課税価格を極めよう 税関視点から見た限定列挙の加算要素
- 【通関士】課税価格を極めよう 買手が無償で提供した物品または役務の費用
- 【通関士】価格按分の理解と試験対策
- 【通関士】通関業法 目的と定義
- 【通関士】通関業法 通関業と通関士の欠格事由
- 【通関士】法定納期限と納期限 輸入と特例申告
- 【通関士】法定納期限と納期限 特例申告による納税申告
- 【通関士】法定納期限と納期限 貨物の地位と法定納期限
- 【通関士】法定納期限と納期限 納期限と過去問
- 【通関士】通関実務 計算式問題
- 【通関士】外為法の基礎と過去問分析
- 【通関士】外為法で得点を取ろう!
- 【通関士】不服申し立て