どうも。ケニー(ケニー🚢第58回通関士試験チャレンジ中)です。このシリーズでは、通関士試験に合格するための知識や攻略法について、受験生目線でアウトプットしています。
通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、こはだです。
前回のふりかえり
前回は、外為法の基礎と過去問分析をお送りしました。
ただ、分析だけの記事になってしまいましたので、今回は、本試験で得点できるように、ポイントを整理したいと思います。
今日は、「外為法で得点を取ろう!」をお届けします。
今日のアジェンダ
- 頻出テーマを優先的に学習する
- 輸出の許可
- 輸出の承認
- 輸入割当てと輸入の承認
- Anki
頻出テーマを優先的に学習する
前回の過去問分析から、頻出テーマが明らかになっています。
頻出テーマは、5~6問です。択一式の正解肢に頻出テーマが出題されると、高確率で得点できます。
また、頻出テーマを学習することで、その例外や、周辺の知識も身に付きます。
それでは、始めましょう。目次は以下です。
- 輸出の許可
- 輸出の許可と認証 → どちらも必要
- 別表第1の1の項の中欄 → 要許可
- 修理品の有償再輸出 → 要許可(無償なら不要)
- 輸出の承認
- 物品(重要文化財とダイヤモンドと核燃料物質) → 要承認
- MADE IN JAPANと類似表示 → 要承認
- 輸出の承認の有効期間と延長 → 6カ月
- 輸出の許可違反の罰則 → 3年間停止
- 輸入割当てと輸入の承認
- 輸入割当ての要不要
- 輸入の承認が必要になるパターン
- 輸入の承認が不要になるパターン
- 有効期間と税関長の権限
- その他
輸出の許可
輸出に関して、経済産業大臣は、輸出の許可と輸出の承認を行います。
輸出の許可と認証 → どちらも必要
「輸出の許可」と「輸出の承認」は、別々の条文で規定されている法律ですので、全く別物です。「輸出の許可」が取れていれば「輸出の承認」は不要である、なんてことはありません。どちらも必要です。
別表第1の1の項の中欄 → 要許可
輸出貿易管理令の別表第1とは、「輸出の許可を得なければならない貨物」を規定したものです。
その中でも、別表1の1の中欄は、爆発物、火薬、武器、軍用航空機など、戦争やテロを起こすような(ヤバい)物品が挙げられています。
問題文に「別表1の1の中欄」とあるものは、例外なく輸入の許可が必要です。
また、「どんな貨物の種類でも輸入の許可を要さない」や「船荷証券による本邦以外の仕向け地~(許可が不要な輸出)」などの引っかけ問題も頻出です。「いやいや、別表1の1の中欄は輸出の許可無いとダメでしょ」とツッコミを入れましょう。
別表第1の中欄
ちなみに「別表第1の中欄」とは、別表第1の1から16までの全ての中欄を指します。
そもそも「別表第1の中欄」に掲げられた貨物は、原則として経済産業大臣の輸出の許可が必要です。
しかし、以下の貨物は、特例として輸出の許可が不要です。
- 別表第1の16の中欄の貨物でアメリカやドイツ向けのとき
- 仮に陸揚げした貨物のうち、本邦以外の地域を仕向地とする船荷証券により運送されたものを輸出しようとするとき
- 別表第1の5から13まで又は15の項の中欄の貨物であり、総価額が100万円(別表第3の3に掲げる貨物にあつては、5万円)以下のもの(少額特例はイラン・イラク・北朝鮮には適用不可)
修理品の有償再輸出 → 要許可(無償なら不要)
修理品の有償再輸出は、要許可です。(これが無償なら許可は不要なのですが。)
輸出の承認
本試験では、輸出の承認が必要な出題が多く出されます。
なので、輸出の承認が不要な問題は、数えるぐらいしかありません。
- 第51回第29問:委託加工貿易 → 1年以内の再輸入は承認不要
- 第51回第28問:ATAカルネ → 基本的に承認は不要だが、貨物の種類に関わらずというならば要承認
10年前は、別表第2の中欄がよく出題されていました。近年の流行りは「うなぎの稚魚」です。
- 第46回第14問:別表第2の中欄 → 承認不要
- 第45回第29問:別表第2の中欄 → 承認不要
- 第57回第14問:うなぎの稚魚と5万円とアメリカ → 5万円以下なら承認は不要
- 第54回第25問:うなぎの稚魚と30万円 → 5万円以下なら承認は不要
後は、輸出の承認が必要な出題をばーっと見ていきましょう。
物品(重要文化財とダイヤモンドと核燃料物質) → 要承認
重要文化財や、ダイヤモンドは輸出の承認が必要です。
ダイヤモンドは、特例を絡めたひっかけ問題が出ますが、輸出の承認が必要なパターンばかりです。
核燃料物質は、輸出の許可を受けていても輸出の承認が必要です。(原則通り、許可も承認も必要です)
MADE IN JAPANと類似表示 → 要承認
どんどん行きましょう。MADE IN JAPANと類似表示されている貨物も、輸出の承認が必要です。
輸出の承認の要不要は、ここまでです。
輸出の承認の有効期間と延長 → 6カ月
輸出の承認は、6カ月が有効期間です。そして、6ヶ月と異なる有効期間設定と延長が可能です。
輸出の承認の有効期間に関して、6カ月以外の数字(よく1年と出ます)が出たら、誤りですので覚えるのはラクです。
ついでに覚えておきたいのが、有効期間の延長の権限が税関長に委任されていることです。
しかしながら、「全て」委任されているわけではありませんので、気を付けましょう。
輸出の許可違反の罰則 → 3年間停止
輸出の許可違反をすると、3年以内の輸出禁止を食らいます。この問題は「3年間、3年以内」という数字以外は出題されていません。
以上で、輸出でした。次に輸入です。
輸入割当てと輸入の承認
経済産業大臣としては、輸入による経済的な影響を考慮するために、「輸入割当て(制度)」が、非常に重要になってきます。
輸入割当てには、条件が付与できます。
輸入割当ては、数量と価格によって、決定できます。
そして、「輸入割当てが必要なのか、不要なのか」という出題が、よくあります。
輸入割当てが不要なパターン
出題されるのは、輸入割当ては不要であるというパターンです。
「経済産業大臣の確認を受けた後の輸入委託者への輸入割当ては不要」という出題が、よくあります。
そして、「外国の領海で採捕した水産動植物で輸入割当てが公表されてる貨物の輸入割当ては不要」という出題が、よくあります。
「船舶又は航空機の事故のために積み戻した貨物を輸入する場合、輸入割当てが公表された貨物は経済産業大臣の輸入の割当ては不要」という出題も多いです。
輸入の承認が必要になるパターン
以下は、輸入の承認が必要になるパターです。出題頻度が高いものから順に紹介します。
基本的に、大前提として、輸入割当てを受けたものは、輸入の承認が必要です。
かと言って、輸入割当てを受けることを要するときに限り、輸入の承認が必要なわけではありません。
輸入割当てを受けたとしても有償品なら要承認です。(無償なら承認不要なのですが)
輸入の承認を受けるのが基本なので、出題数は少ないです。
輸入の承認が不要になるパターン
最も多い出題が、輸入の承認が不要になるパターンです。
輸入割当てを受けており仮陸揚げする貨物は、輸入の承認は不要です。
「経済産業大臣の確認を受けた後の輸入委託者への輸入割当ては不要」という問題がありましたが、委託を受けたものは輸入の承認も不要です。
あと頻出なのが、政府機関による輸入は、輸入の承認が不要です。他の大臣が輸入するときは、経済産業大臣と要協議です。
あとは、輸入の承認が不要な個別の出題(過去問で1度しか出ていない)がたくさんありますが、追いきれません。。。
有効期間と税関長の権限
輸入の承認の有効期間は、輸出と同じで6カ月です。
これを、特に必要があると認めるとき、1か月以内の延長が可能です。
輸出と同じように「6ヶ月と異なる有効期間設定と延長が可能」でもあるので、少し混同しそうですね。
輸入の承認の権限(条件を付する権限も)は、税関長に委任されています。
ただし、有償の貨物の承認の権限は、税関長に委任されていません。注意が必要です。
その他
その他で押さえておきたいのが、証書の取り扱いです。
- 「輸入割当証」・・・輸入割当を希望しないなら経済産業大臣に要返還。
- 「輸入承認証」・・・必要としなくなったら経済産業大臣は提出を求めることができる。
これ、出題されて解けなかったら悔しいので、覚えてしまいましょう。
Anki
さぁ後は、暗記で量でカバーでもいいでしょう。
Ankiで使えるCSVはこちらです。ご自由にお持ちください。
まとめ
以上で、「外為法を落とさない!」をお届けしました。
最後は力業になってしまいました。もっと早く手を付ければよかったのに。
次回は、未定です。
このシリーズの目次 第57回
- 【通関士】資格勉強の学習計画
- 【通関士】行政と行政手続
- 【通関士】内閣大臣と大忙しの税関長
- 【通関士】税関長による行政処分
- 【通関士】通関士の役割と税関長の許可・承認
- 【通関士】通関書類の作成および通関実務の学習ポイント
- 【通関士】課税標準と端数処理
- 【通関士】関税額の計算の基本と応用
- 【通関士】修正申告と更正と延滞税と過少申告加算税
- 【通関士】貨物の品目分類とHS条約
- 【通関士】関税率表の解釈に関する通則と所属の決定
- 【通関士】貿易と船と海の話
- 【通関士】輸入時の関税納付のポイント(全体像編)
- 【通関士】課税物件確定の時期と適用法令
- 【通関士】納税義務
- 【通関士】延滞税の免除と軽減措置
- 【通関士】原産地規則の適用と手続
- 【通関士】原産地規則の実質的変更基準
このシリーズの目次 第58回
- 【通関士】第58回本試験に向けて
- 【通関士】課税価格を極めよう 原則と例外
- 【通関士】課税価格を極めよう 現実支払価格の加算と控除
- 【通関士】課税価格を極めよう 現実支払価格の買手が自己のために行う活動と保管
- 【通関士】課税価格を極めよう 売買契約と輸入取引における買手と売手
- 【通関士】課税価格を極めよう 価格決定の構造とインコタームズ
- 【通関士】課税価格を極めよう 税関視点から見た限定列挙の加算要素
- 【通関士】課税価格を極めよう 買手が無償で提供した物品または役務の費用
- 【通関士】価格按分の理解と試験対策
- 【通関士】通関業法 目的と定義
- 【通関士】通関業法 通関業と通関士の欠格事由
- 【通関士】法定納期限と納期限 輸入と特例申告
- 【通関士】法定納期限と納期限 特例申告による納税申告
- 【通関士】法定納期限と納期限 貨物の地位と法定納期限
- 【通関士】法定納期限と納期限 納期限と過去問
- 【通関士】通関実務 計算式問題
- 【通関士】外為法の基礎と過去問分析
- 【通関士】外為法で得点を取ろう!