【通関士】法定納期限と納期限 輸入と特例申告

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どうも。ケニー(ケニー🚢第58回通関士試験チャレンジ中)です。このシリーズでは、通関士試験に合格するための知識や攻略法について、受験生目線でアウトプットしています。

通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、秋刀魚です。

前回のふりかえり

前回は(1年前になりますが)、【通関士】輸入時の関税納付のポイント(全体像編)、をお届けしました。

関税納付を理解するために、最低以下の4つはブログを書かないといけないのに、ブログを執筆したのは、1つだけでした。なので、新たに1つ更新したいと思います。

今回から「法定納期限と納期限」をお届けします。

今日のアジェンダ

  • 関税の納付における輸入とは
  • 特例申告と特例申告書

関税の納付における輸入とは

「輸入」とは、外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることです。(第二条一)

貨物を輸入しようとする者は、以下の2点をクリアしなければなりません。

  1. 関税の納付に関する申告を行い、納税する(第七条)
  2. 貨物の品名や数量の申告を行い、貨物の検査を経て許可を受ける(第六十七条)

関税法では、総則(関税法の概要や定義について)の次に関税(を納税すること)について定められており、通関(貨物の通関を切ること)については、ちょっと後で言及されています。恐らく、「関税の納付の方が大事」だからだと思います。国を守る必要がありますからね。 

この、納税申告輸入申告という目的が異なる2つの申告ですが、原則として同時に申告を行います。申告書のフォームは「輸入(納税)申告書」を使います。

輸入申告は、その申告に係る貨物を保税地域又は他所蔵置許可場所に入れた後にするのが原則です。また、輸入許可の申請は、輸入貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長に対して行ないます。

輸入の原則

以上を踏まえ、輸入の原則を図にするとこんな感じです。 

税関は、輸入者に、関税の確定・納付・徴収を行なわせますが、関税には「課税要件」と「タイミング」が大事というのは「課税物件確定の時期と適用法令」でお伝えした通りです。 

関税が確定するタイミング(課税物件確定の時期)は輸入申告の時であり、いつの時点で有効な法令によって関税を課すのか(適用法令)は輸入申告の日であり、関税を収めるべきタイミングは、輸入許可の日です。 何度も言いますが、関税を収めることと貨物を引き取ることは、引き換え条件です。なので輸入許可の日が関税を収めるべきタイミングなのです。

少しだけ「課税物件確定の時期」と「適用法令」も交えてしまいましたが、関税の納付における輸入の原則は、以上です。

POINT

  • 貨物を輸入するときは、「通関」と「納税」の2つの申告があり、原則同時に行う
  • 「納税」の方が大事で、貨物を引き取りたいなら納税する必要がある

特例申告と特例申告書

通関のことは置いといて、まず、納税についてです。関税法では、輸入者が自分で関税額を申告して納付する「申告納税方式」と、税務当局が税額を計算し納税者に通知する「賦課課税方式」に分けて、法を定めています。 

では、申告納税方式を見ていきます。

申告と申告の特例

申告とは、税関長に対し、輸入する貨物に係る関税の納付に関する申告を行うことです。前述した通り、「輸入(納税)申告書」を使います。

輸入(納税)申告書は、第六十七条(輸出又は輸入の許可)の規定に基づいています。第六十七条(輸出又は輸入の許可)の規定とは、当該貨物の品名並びに数量及び価格を税関長に申告し、検査を経て、許可を受けるということです。 

この申告には、特例があります。その特例とは第六十七条の輸入の許可の規定に基づいてなくても、関税の納付に関する申告ができるというものです。

通常は、通関(貨物引取)と納税(関税を収める)申告は、同時に行うものでした。

しかし、以下の手順で、貨物の引取と納税ができます。

  1. (税関長から特例輸入者の承認を受ける)
  2. 輸入申告を税関に対して行う
  3. 税関は審査を行い、輸入許可をする
  4. (納税申告を行っていないのに)貨物を引取ることができる
  5. 納税申告を行う
  6. 関税を収める

この一連の流れを、特例申告(とくれいしんこく)と言います。

関税を収める前に、貨物を引き取ることができるので、貿易や経済が発展してメリットがたくさんあります。

しかし、誰でも特例申告ができると秩序が乱れてしまいますので、特例申告ができる者を、以下の2者だけにしています。

  1. 貨物を輸入しようとする者であつて、あらかじめいずれかの税関長の承認を受けた者・・・特例輸入者
  2. 当該貨物の輸入に係る通関手続を、認定通関業者に委託した者・・・特例委託輸入者

さきほどの手順1.にも書きましたが、特例申告ができる者になるためには、税関に申請を行ない、承認を受けなければなりません。

「法令順守できる者」や「過去の通関履歴に問題ない者」など、厳しい審査があります。

以上のことから、特例申告のことを「特例(委託)輸入者による、貨物の引取申告と納税申告を分離する制度」と解釈するばあいもあります。 

特例申告書と期限内特例申告書

特例申告の手順では、貨物引取りの後に、納税申告を行いました。このとき作成するのが特例申告書です。

  1. (税関長から特例輸入者の承認を受ける)
  2. 輸入申告を税関に対して行う
  3. 税関は審査を行い、輸入許可をする
  4. (納税申告を行っていないのに)貨物を引取ることができる
  5. 「特例申告書」を作成し、税関長に提出して、納税申告を行う
  6. 関税を収める

この、特例申告書は、許可の日の属する月の翌月末日までに、許可をした税関長に提出しなければなりません。

8月15日(終戦記念日)に輸入許可が下りたなら、9月末日までに。です。

ちゃんと、9月末日まで(期限内)に作成して提出した特例申告書のことを「 期限内特例申告書(きげんないとくれいしんこくしょ) 」と言います。

許可の~とか属する~とかややこしいです。「8月15日に許可がおりたら、9月末日。それが期限内特例申告書。」と覚えてください。

期限を過ぎてしまったあとに提出する申告書を「期限後特例申告書」と言います。期限を過ぎても、税関長から決定(税額を決められること)を受けるまでは、期限内特例申告書と同じ内容で申告書を作成できます。ご安心ください。

た・だ・し、納税しなければならない期限を超えてしまっていますので、「延滞税」や「加算税」などのペナルティが発生します。。。

次回以降、ペナルティについて考察します。

POINT

  • 特例(委託)輸入者による、貨物の引取申告と納税申告を分離できる制度が特例申告
  • 8月15日に許可がおりたら、9月末日まで。それが期限内特例申告書

まとめ

以上で、「法定納期限と納期限 輸入と特例申告」をお届けしました。

特例申告について、テキスト(ヒュー赤)でさらっと読んだだけで、理解していなかったことがたくさんありました。

特例申告とは、あくまで結果として貨物引取りと納税申告を分けることができますが、本質的には、輸入通関の生命線である「納税」を猶予してあげるから「特例」だと言うことです。

次回は、法定納期限と納期限をお届けします。

参考資料

通関士教科書 通関士 完全攻略ガイド ヒューマンアカデミー

このシリーズの目次 第57回

このシリーズの目次 第58回

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