どうも。ケニー(ケニー🚢第58回通関士試験チャレンジ中)です。このシリーズでは、通関士試験に合格するための知識や攻略法について、受験生目線でアウトプットしています。
通関士試験指導「みこ会」メンバーです。好きなお寿司のネタは、黒ボッキです。
今日から少し「通関業法」に焦点を当てたいと思います。本日のテーマは「目的と定義」です。
ぜひ、暗記学習につまづいたら読んでください。
今日のアジェンダ
- 通関業法の目的
- 通関業法における定義
通関業法の目的
できるだけ暗記に頼らず、通関業法をクリアするためには、1つ1つ「理解」していくことが大事です。
通関業法を理解するためには、通関業法を見て、理解することが近道です。
まず、目次が重要です。通関業法は、全六章+附則からなります。
お伝えしたいことは、第一章で通関業法の「目的」と「定義」を定めていることです。
第二章以降で、通関業の許可や通関士について書かれています。
通関業法の目的
第一章の第一条で、通関業法の目的を定めていますので、ここではまだ「業として~」という言葉は登場しません。
主語は、「通関業を営む者」です。「通関業務を営む者」という日本語は変です。「通関業」ですから。
規制(Regulation)は、政府や行政機関が制定し、特定の行為や業界を法的に管理・制御するための命令です。規制には法的拘束力があり、違反すると罰則や罰金が科されることが一般的です。
よく、規則(Rules)と混同しがちですが、ルールは「できたら守ろうね」という約束事です。規制(レギュレーション)の方が強いです。
なので、通関業を営む者のその業務の「規制」を定めることが、通関業法の目的です。
もう1つ重要な目的があります。それは、
- 関税の申告納付
- 貨物の通関に関する手続
この2つの「適正かつ迅速な実施を確保すること」です。
日本語には「適格・適確」とか「適切・適性」など似た言葉が多いですが、業法の目的で使われているのは「適正(Properly,Fairly)」です。
さらに、この2つの業務に関しては、適正なだけでなく「迅速」さが求められます。
そして、どうやって上記の2つをやり遂げるかというと、「その業務の適正な運用を図ること」で実現することが通関業法の目的です。ここでも「適正(Properly,Fairly)」という単語が使われています。
「通関士の設置等必要な事項を定める」という目的も述べられています。ほかにも必要な事項はたくさんありますが、どうして「通関士の設置」を代表的に選んだのかは謎ですね。
以下が、目的の全文です。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、通関業を営む者についてその業務の規制、通関士の設置等必要な事項を定め、その業務の適正な運営を図ることにより、関税の申告納付その他貨物の通関に関する手続の適正かつ迅速な実施を確保することを目的とする。
通関業法における定義
言葉の定義として、まず、4つが定められています。まず、この粒度で覚えましょう。ここで初めて通関業とは「業として~」という言葉が登場します。
※1. の通関業務とは、次に掲げる事務です。
イ)の「次に掲げる手続又は行為」というのは、3つあります。
通関手続と不服申し立ては、依頼者の名義で通関士などが税関に対して手続や申告を行うことです。
「代理」とは、法律行為の代理として、他者の名義で行為を行い、その効果を直接本人に帰属させることです。
一方で、税関官署に対してする主張又は陳述は、依頼者の代わりに行うことです。
税関官署の調査、検査、処分に関して主張又は陳述をするので、これは代理ではありません。
なので、イ)の「次に掲げる手続又は行為」を「代理又は代行する」というのは、以下の3つを文章にまとめた結果です。
以上をまとめて、ヒュー赤では、通関業務のことを、このように表現(定義)しています。
通関手続
通関業法で定められている通関手続は、5つです。
ただし、通関業法基本通達2-2では、以下も通関手続の範囲にいれるからね、と言ってます。
そのため、粒度を揃えずに通関手続を列挙すると、理解も暗記も大変です。
むしろ以下のような、通関手続に含まれない範囲を覚えた方が良さそうです。
- 関税の払戻又は還付の申請・・・関税額の確定後の手続
- 保税蔵置場の許可の申請・・・通関には無関係
関連業務
他人の依頼により、通関業務を代理や代行したり、通関書類を作成することは、通関業者のみが業として独占的に行えるものです。
しかし、通関業者は、通関業務のほかその関連業務として、通関業者の名称を用いて、他人の依頼に応じ、通関業務に先行し、後続し、その他当該業務に関連する業務を行なうことができます。
これは、他の法令によって特に制限されていない限り、誰でも行うことができます。
以下が、関連業務の例です。
- 保税運送の手続
- 見本の一時持ち出し手続
- 仮陸揚手続
- 本船とふ中扱い
- 他所蔵置許可申請
- 事前教示照会
- 内国消費税の申告
- 外為法の輸出入許可申請
本試験では、とある手続に対して、通関業務なのか関連業務なのか、という出題がよく出ます。
1点も取りこぼしのないよう、暗記ではなく、理解で解きましょう。
まとめ
以上で、通関業法「目的と定義」をお届けしました。
暗記学習は、罰則の3年や5年、50万円や100万円など、覚えるのが大変な分野に任せたいところです。
次回も、業法からお届けします。
参考資料
このシリーズの目次 第57回
- 【通関士】資格勉強の学習計画
- 【通関士】行政と行政手続
- 【通関士】内閣大臣と大忙しの税関長
- 【通関士】税関長による行政処分
- 【通関士】通関士の役割と税関長の許可・承認
- 【通関士】通関書類の作成および通関実務の学習ポイント
- 【通関士】課税標準と端数処理
- 【通関士】関税額の計算の基本と応用
- 【通関士】修正申告と更正と延滞税と過少申告加算税
- 【通関士】貨物の品目分類とHS条約
- 【通関士】関税率表の解釈に関する通則と所属の決定
- 【通関士】貿易と船と海の話
- 【通関士】輸入時の関税納付のポイント(全体像編)
- 【通関士】課税物件確定の時期と適用法令
- 【通関士】納税義務
- 【通関士】延滞税の免除と軽減措置
- 【通関士】原産地規則の適用と手続
- 【通関士】原産地規則の実質的変更基準