どうも。つじけ(tsujikenzo)です。このシリーズでは「[OKR]目標は70%ぐらいを達成しよう」を、お送りします。
働く人だけにかぎらず、すべての人にとって「目標達成」というキーワードは、縁があるものではないでしょうか。
「元旦に今年の目標を立てたけど達成できなそう」とか「目標に向かってがんばってるけど効率が悪いのではないか」など、さまざまな悩みを抱えていると思います。
今回はそんな、会社や組織の「目標達成」について、考察してみたいと思います。
このシリーズのアジェンダ
- 第1回 OKRとはなにか
- 第2回 目標(Objective)
- 第3回 主要な結果(Key Result)
- 第4回 OKRのすすめ方
今日は、1回目で「OKRとはなにか」をお届けします。
今日のアジェンダ
- OKRの定義と価値
- OKRの歴史
- 目標は70%ぐらいを達成しよう
OKRの定義と価値
OKRとは、「会社内のあらゆる組織が、同じ重要な課題に全力で取り組むようにするための経営管理手法」 です。
会社や組織を成長させるための活動を、目標(Objective) と、主要な結果(Key Result) にわけて管理します。
もちろん、個人の目標達成にも使える手法です。(このブログでは、主に組織の目標達成について語ります。)
目的と目標とタスクの違い
「目的」は、会社や組織がどうなりたいのか、あるべき姿の方向性を示したものです。組織が存在しているあいだ、わたしたちが生きている間は、目的の終わりがないとも言えます。
「目標」は、その目的を追い求めていく上での通過点です。かならず終わりがあります(終わらせる必要があります)。目標は、かならずしも100%達成することがいいわけではありません。進捗を測定しながら、常に目的と照らし合わせて、会社や組織が成長を続けることが大切です。
「タスク」は、目標達成にむけて行う活動です。1日~数日で「やれば終わり」という短期的なものです。
OKRが提供する価値
OKRは、会社や組織が、目的を追い求めていく上での、目標と主要な結果を評価する道具、と言えます。
OKRを正しく使うことができれば、限られたリソース内で、最大の成長をすることができるでしょう。
弊社でも、「みんな目標に向かってがんばってるんだけど、バラバラなことをしているな」という悩みがありました。調査を1つするにしても「重複しない」など、目標達成をラクにする方法はあるはずです。
それが、OKRでした。
アライメント
OKRがもたらす価値の1つに、会社や組織の目的や目標と、働くひとの目的や目標を一致させることができる、というものがあります。
これを、「アライメント」と呼びます。
アライメントが取れている会社は、業界上位に入る確率が、同業他社の2倍以上という研究結果があります。
アライメントを取るために、OKRでは「トップダウンとボトムアップのハイブリッド」という手法を取り入れます。
働くひとのやらなければならないことを、すべてトップダウンで決めるのではなく、トップは方向性だけを決めて、あとはチームや個人で考える、という手法です。(詳細は後ほど)
これは、労働や生産性の歴史から、まなぶことができます。
OKRの歴史
「組織が成長する」というのは、どういう状態でしょうか。歴史のはじまりは、「支配的な労働で生産能力を向上させる」というものだったようです。
20世紀初頭の科学的経営は、「従業員にすべきことを正確に理解させ、それを最適かつ最も安価な方法で行わせる」というものでした。
それを否定したのが、1950年代に活躍したピーター・ドラッカーです。彼は「人に自らの進む道を選択させると、最後までやり遂げる可能性が高まる」と説きました。これは、MBO(Management by Objective)と名付けられ、労働は目標によって管理した方がよい、というものでした。
ただし、多くの企業の目標管理は、目標達成を報酬と連動させた年次評価であり、非公開でWHATのみを追求したリスク回避型になっていきました。
1980~90年代にインテルを率いたアンドリュー・S・グローブは、ピーター・ドラッカーのMBOの課題を改善し、「目標と主要な結果」 というマネジメント手法を発明しました。これがやがて、Google創業者の2人に伝わりました。
現在、OKRが「Googleで採用されているマネジメント方式」と言われているのは、産業革命以来続いている、「経営と生産性はどうあるべきか」 の1つの答えを、世界第一の企業に成長したGoogleが証明したのかもしれません。
MBO | OKR |
---|---|
WHAT | WHAT、HOW |
年次 | 四半期 |
非公開 | 公開、透明性 |
トップダウン | ボトムアップあるいは水平展開 |
報酬と連動 | 報酬と分離 |
リスク回避 | 積極的、野心的 |
目標は70%ぐらいを達成しよう
会社や組織が成長するのは、目標の70%ぐらいを達成するときです。
とある目標を立てて、100%達成することを価値にしてしまうと、ひとは「100%達成できる目標」のみを掲げてしまいます。
つまり、リスクを取らない、チャレンジをしない組織になってしまうのです。
また、70%という数値を認識するためには、目標達成がどのような進捗を経たのか、数値化する必要があります。
主要な結果(Key Result)は、まさに進捗を測定するための指標です。
KRについては、後の章で詳しくお伝えします。
OKRの例
以下は、営業部が設定したOKRの例です。
- Objective 経常収益を増加させる
- KR1 MRR (月次経常収益) 200 万ドルを達成する
- KR2 年間契約更新率を 25% 増加する
- KR3 チャーン (契約解除) 率を 10% 削減する
- KR4 外部コンサルティングを1名採用する
ビジネスだけに限らず、スポーツチームでも設定可能です。
- Objective 甲子園で優勝する
- KR1 1試合あたりの全体出塁率が25%以上
- KR2 1試合あたりのエラー数が3以下
- KR3 メンバー全員の健康数値がA++以上
もちろん、個人でも設定可能です。
- Objective 家族と過ごす大切な時間を増やす
- KR1 月に20日は午後6時までに帰宅して、夕食を一緒にする
- KR2 午後22時以降は、インターネットを遮断して、家族と会話をする
- KR3 来たる記念日を祝うために、家族で計画を立てる
まとめ
以上で、「1.OKRとはなにか」をお届けしました。
Objectiveとは、組織がどうあるべきかというMissionを追い求めていくうえでの目標でした。
Key Resultとは、目標への進捗を測定する指標です。
タスクとは、Key Resultの達成を目指す日々のお仕事です。
次回は、「2.目標(Objective)」を、お届けします。
参考資料
- Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR
- HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント
- 目標と主要な結果 (objectives and key results: OKR) とは?